被災地の子供たちの「心の声」がいっぱい聞こえました。

Posted in Diary,Information by yano kiyomi on 8月 4th, 2011


被災地の子供たちの「心の声」がいっぱい聞こえました。

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ガレキの中から出てきてくれた硯の縁で、私は雄勝の子供たちと書がかけました。

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震災から一ヶ月後、私は日本のシェア90%の硯の町「雄勝町」に立っていました。
私の足元には津波でひび割れた硯たちが叫び声を上げていました。その硯を、
硯協会の理事長の澤村さんにお借りして名古屋に帰って毎日気持ちを書きました。

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澤村さんと初めてお逢いした大須小学校の避難所体育館で
「書きま(しょ) in宮城 雄勝の子供たちの心の書」がこんなにも早く叶いました。
 
雄勝の町の小学生28人
はじめて筆をもつ子供たちも大勢いました。

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                                    (筆は豊橋筆生産連盟のみなさんから)

ガレキの中から出てきてくれた少し傷を負った硯で一人々が墨をすりました
墨は雄勝との交流深い三重県鈴鹿墨の伝統工芸師 伊藤亀堂さんが
この日のために作ってくれた「やればできる墨」です。
子供たちは真剣に墨をすりました。

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「書」は習字とは違います
習字はお手本どおりに書き方を習うことですが
「書」は心の中にある今の気持ちをそのまま書きます。
たとえば「淋しい」気持ちは言葉ではなかなか言えませんが
白い紙の上には「淋しい」と書けます。

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はじめは子供たちも普通の言葉を書いていました。
1時間経った頃には
心の音・叫び・声が聞こえてきました。
 
もうやめようか・・・と伝えると「まだ書きたい!」といっぱいの言葉が出てきました。
よかった。

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                                (紙は名古屋の青柳堂さん・菊やさんから)

「つなみ」
「大しんさいにまけないでがんばる」
「もうぜったいくんなつなみ」
「村をまもる」

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つらい言葉の後には
「みんないきている」
「もとどおり」
「新友」

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それからみんなの大好きなもの
「すし」
「自転車」
「力いっぱい遊ぶ」

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みんな一人一人が思い思いの言葉をかきました。
お母さん方は「こんなことを子供が思っていたなんて・・」と・・・
 
白い紙に書いた言葉は子供たちも忘れません
でも、心から外に出せた時、次に進みます。

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雄勝の硯で墨をすって書いた言葉は千年先も消えません。
子供たちの大切な気持ちを私たち大人が忘れないためにも
これからも被災地でみんなで書いていけますように・・・
 
それから今回は、800人亡くなられた南浜松町のみなさんの避難所 石巻高校と
飯野川中学と女川第一小学校の避難所・仮設住宅に
炊き出しのお手伝いと物資提供に行きました。

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洋服1000枚はビアンカの高橋さんから
下着は150枚
駄菓子は米やのおばあちゃんから
みんなの気持ちを名古屋から運びました。1700キロみんなで運びました。

喜んでくれました。
よかった。
 

でも、今まで逢えた避難所のおばあちゃんたちがいなかった。
みんな元気かな
先月、ずっと手を握ったまま離さなかったおばあちゃん
最後まで手を振ってくれたおばちゃん
「待っているからね・・」って約束だったけど・・
 
今度は仮設住宅を回ろうとみんなで話し合っています。
 
5歳の男の子が「僕のくつがないの・・」と泣きながら私のところに来てくれた。
おんぶして一緒に探した。一生懸命さがした
くつは出てきて男の子は笑った
 
男の子の悲しい顔が離れない
何かをなくして悲しい思いをさせたくは無い
二度と何かが無くなって子供たちを泣かせたくない
どうか・・どうか・・・
 
8月1日  矢野きよ実